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2話
冬四郎と晃の静かだが、どちらも引かない不穏なやり取りに、むつは溜め息しか出なかった。日にちが決められていたという事は、断られる事はないと決めつけられていたと思うと、むつは晃と父親がいかに、暴走していたのかが分かった。
自分の事のはずなのに、どこか他人事のようになっていた。自分を挟んで、両親と兄たちのしている喧嘩は、本当に自分が関わっている事なのだろうか。そんな感じがして仕方ない。
兄のやり取りに口を挟む気はないし、両親がどんな話をしているのか興味はあっても、聞き耳を立てるわけにもいかない。そうなると、やる事がない。折角、家族が居るというのに暇なむつは、ふぁふぁと欠伸をしていた。
昨夜は眠れたとは言えど、やはり安心して眠れたわけではない。すでに仕事は終わっているし、気が抜けているのか眠くなってきて、むつはごしごしと目を擦った。




