2話
ここでも喧嘩が始まると思ってか、むつはとことことキッチンに入っていくと、カフェオレを作ると、流し台に寄り掛かって立ったまま、マグカップを口につけた。
「そもそも兄貴は何がしたいんですか?むつに結婚させて、さっさと家から出したいんですか?」
「そんなわけあるか。酒井さんは良い人だしな、むつが結婚っていう事を少しでも意識してくれたらと思ったんだ」
「結婚する事が、幸せな事ではありませんよ?むつにはむつの幸せがあるんですから」
「別に見合いをするから、その人と結婚しなさいって言ってるわけじゃないだろうが。ただ、どうだ?っていう話なんだからな」
「ですから、それがむつに取って迷惑な話かもしれないじゃないですか。日にちまで決めてからを話すのもおかしいじゃありませんか?むつの意見全く聞く気ないじゃないですか」
「予定を組んでから、話してもいいじゃないか。そしたら、その方が早いんだしな」
「それは、もうむつが行く前提じゃありませんか?むつがどうしても行きたくないって言って断れば、相手の方にも失礼ですよ」
「酒井さんが親父とすでに日にちまで決めてたんだ。俺じゃない」
「責任転嫁ですか?」




