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2話
「しろにぃはどこまで知ってたの?」
「どこまで、っていうのは?」
「話の内容。相手の名前とか仕事の事とか」
「俺は何にも知らないぞ。ただ、親父と兄貴から、むつに見合いを持ってきたって聞いただけだからな。後は聞きたくないから、部屋に押し込んどいたんだ」
ふんっと息を吐きながら言うと、冬四郎はタバコに手を伸ばした。まだイライラしているのか、どうもタバコの本数が多い。
「…何で聞きたくなかったんだ?」
「聞く必要ありませんし」
「妹の事なのにか?そんなに無関心か?」
「関心が有る無しじゃありません」
「じゃあ何なんだ?」
「そもそも、むつに話をする前に、勝手に盛り上がって進めて、俺に言う事が間違ってます。何なんですか?俺を通して、むつに伝えさせるつもりでもいましたか?」
図星をつかれたのか、晃の眉が不機嫌そうに跳ね上がるのを、むつは見逃したりはしなかった。




