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2話
「むつ。お前もそろそろ、そういうのを考える頃になってもいいと思うしな…今は彼氏も居ないだろ?」
「…お兄ちゃんが結婚したらね。上から順番に、でいいよ。だから、むつはまだ大丈夫。以上」
再び腰を浮かせようとするも、晃が素早くむつの両肩に手を置いて、そうはさせじとしている。
「むつ、そう急いで出ていこうとするな。ちゃんと最後まで聞きなさい」
今まで黙っていた父親に、そんな風に言われてしまうとむつは嫌とは言えず渋々といった感じで、足を崩して座り直した。そして、ちゃんと聞くつもりがあるのか、肩に乗せられている晃の手を下ろすと父親の方を向いた。




