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2話
やはり、落ち着く事が出来なかったのか、むつがやや早口に言うと、晃が困ったような顔をしながら頷いた。それを見て、むつもうんうんと頷いた。
「いや、いや…えーっ‼」
納得してか、むつはこくこくと縦に首を振っていたかと思うと、ぶんぶんと横に首を振る動作は小刻みで素早い。
「…大丈夫か?」
「大丈夫ないっ‼情報を処理しきれない」
「そんなに膨大じゃないはずだぞ」
「量じゃないサイズ」
はぁーっと息をついたむつは、晃に手のひらを見せると待ってくれと言っている。ぺたっと額に手をおいて、むつは落ち着いて何事かを考えている様子だった。だが、その考えはすぐに出たのか父親の方を見た。
「お断りします」
「ま、待ちなさい」
落ち込んだり、慌てたりと目まぐるしく表情が変化していたむつだったが、すでにキャパオーバーで煙を吐きながら故障でもしたかのように、無表情で淡々と言うと、さっさと立ち上がろうとした。だが、それを晃がすぐに引き留めるとそのまま座らせた。




