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2話
そんな父親を見てか、晃がむつをなだめるように、座りなさいともう1度言った。晃からも言われると、むつは渋々といった感じで、2人の前に座った。だが、家族という気安さはなく正座をして、むつはどこか他人行儀のようでもいる。
「前置きとかいらないので、本題だけお話して頂けますか?私は仕事で疲れてますし、早めに休みたいので」
長居はしたくないというようなむつの言葉に、晃と父親は顔を見合わせた。
「むつ、そんな言い方はないだろう?父さんが、電話じゃなくてちゃんと話したいからって出てきてるのに」
「出向いて話さないといけないくらい、大切なお話なのは分かってます。ですが、しろにぃもお母さんもあまり快く思ってないようなお話だそうですし…それに、私に関係ある事だというのに、私には一切の連絡がありませんでしたから」
「先に、冬四郎に話した事がむつは気に入らないって事だな?」
「うん…だって、あたしの事なんでしょ?なのに、先にしろにぃに話したって事はさ…良くない話なんだと思うし、あんまり聞きたくないかも」
きりっとした顔つきから一転して、むつは悲しそうな泣きそうな表情を浮かべて晃を見た。




