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2話
結局、山上が一緒という事でむつは事務所に泊まった。一昨日は冬四郎の所で昨夜は事務所。そんな生活をしているからか、やはりゆっくり眠れる事はなく、むつは寝不足のような顔をしていた。
「…大丈夫か?」
ソファーの上で眠たそうに目を擦りながら、大きな欠伸をしているむつにマグカップを差し出しながら、山上も眠そうに欠伸をしている。
「うん。でも事務所に泊まった方が寝れた…何で?社長も居てくれたし、うちの子たちいるから安心感?やっぱ数には勝てない的な…」
「かもしれないな。みやは、こっち系には疎いからな…でも、あいつ不思議と憑かれたりしないよな」
「うちのお兄ちゃんたちは鈍感すぎるのか強靭なのか分からないけどね、全然そういうの無いね」
「強靭って事にしといてやれ。まぁ寄せ付けないっていうのは、いい事だ」
「本人にのみ有効」
「そりゃそうだ。自分の事だからな。で…昨日は変な感じとかは無かったか?」
マグカップを両手で持ちながら、むつはこくりと頷いた。やはり、むつの言う通り多勢には敵わないという事なのだろうか。




