51/1084
1話
「だって?」
「…もしかしたら、あたしが気にしすぎてそんな風に感じただけかもしれないかもって思って」
「最近寝れないって言ってたな?それもあれか?変な感じがしててか?」
むつが大人しく頷くと、山上は溜め息を漏らした。むつが言いたくないと思っていたのは、自分の能力が弱っていてそういった事が、はっきりと分からなくなっているから自信がなかったのだろう。
「…仕事でさ、幽霊がーとかって依頼あるでしょ?でも、そういうの気のせいだったりとか何もない事の方が多いから。そういうさ…変に騒ぐ人たちと一緒になりたくなかったし」
「いや、お前がそんなタイプだとは誰も思ってないから大丈夫だ。むしろ、付け狙われやすいんじゃないかと思ってるぞ。だから、ちゃんと言え。いいな?全く…また誘拐でもされたらどうすんだ、あほたれ」
「はい…ごめんなさい」
しょんぼりと項垂れているむつは、以前にどれだけ迷惑と心配をかけたかを身に染みて感じているだけに、ここで言い返したりは出来ない。




