1話
「で、なぁに?」
「こっちは、寝室ですよね?」
「視てもいいですか?」
むつはちょっと待ってと言うと、先に部屋を見た。特に見られて困る物はないし、昨日出る前に布団はならしておいたし大丈夫だった。むつがドアを大きく開けると、祐斗と京井は中に入った。
「…京井さんはどう思いますか?」
「そうですね…何か、こう…どす黒い物が来たような気配は残ってますが、今は何も居ませんね。谷代君はどう思いますか?」
「浮遊霊なんかは全く居ませんし、綺麗な場所かなとしか思えないですね。やっぱり、むつさんが気にした通りに何かは来てという事なんでしょうね」
祐斗と京井の話が聞こえているむつは、何か悩むように下唇を撫でている。黙っているむつを気にしてか、祐斗は心配そうな表情を浮かべている。
「やっぱり人じゃなかったんだ…」
「え?」
「うん…昨日、最初はお兄ちゃんがうちでご飯食べるってなってて、待ってる時にさ誰か来たのよ。でも、お兄ちゃん来たらそんな気配もなくなってて…お兄ちゃんは誰ともすれ違ってないって言うし…でも、本当に誰か入ってきたの。玄関から」
「お前それ…何で言わなかったんだ」
「だって…」




