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1話
4人はそんな話をしながら、むつの部屋へとやってきた。特に何か変わった様子はない。京井は、すんすんっと鼻を鳴らしながら、祐斗は注意深く辺りを見回している。むつと山上は邪魔にならないようにと、玄関先で待っているだけだった。
「むつさん、あっちの…ってあれ?」
「んー?」
「…何で入らないんですか?」
「邪魔になるかなって…」
「作業するわけじゃないんですから、家主が外で待つ必要はないじゃないですか」
京井にもくすくすと笑われ、むつは靴を脱ぐと我が家へと入った。京井の言う通りだが、昨日の不審者の事もあってか、自分の部屋とは言えどなんとなく入りたくはなかったのだ。




