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1話
「…何かあったんだろ?」
「まぁ、ね」
話す気がないのか、むつは重苦しげな溜め息を漏らした。山上は無理矢理聞こうとは思っていないようで、ふぅんと頷いてコーヒーをすすった。
むつは眠そうに目を擦りながら、コーヒーをすすると何か思い出したかのように携帯をいじり始めた。山上はむつが何をしているのかは気にはなっていたようだが、あまり聞いては悪いという遠慮なのな、ちらっと見ただけで何も言わない。
落ち込んだような憂いのある表情から、ぱっと笑みに変わるとむつは気を取り直したように、大きく伸びをした。
「うーん…仕事しよっ‼」
何か分からないが、むつがいつもの調子に戻ったような顔を見せると、山上もどこかほっとしたような表情を見せた。




