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7話
「でも、贈り物をするって事は向こうは明らかに好意を寄せてるって事だろ」
「…違うよ。お兄ちゃんだから話せるけど」
むつは冬四郎にも本当に話していいのだろうか、とネックレスを触りながら悩んだ。だが、話すとしたら4人居る兄の中でも冬四郎しかいないだろう。
「あのね…」
「待った。西原君にも聞かれて困らないなら、戻ってきてからにするぞ。西原君もたぶん、母さんと同じように思ってるからな…理由があるなら、安心出来るように聞かせてやれ」
「…う、うん?うん、分かった」
「お前…わりと鈍いだろ」
「鈍いって…動きが?」
「違う…」
「じゃあ何よ?何で急に悪口言われたのか全然分かんないんだけど…」
ふて腐れたように頬を膨らますむつを見ながら、やれやれと冬四郎は溜め息を漏らして、早く西原が戻ってこないかなと思っていた。




