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よろず屋 -むかしのこと-  作者: 幹藤 あさ
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7話

冬四郎に睨まれたままのむつは、何も言わずに黙って立っている。先に言い訳でもしようものなら、雷の数が増えるだけというのを重々承知しているからだった。だが、冬四郎は黙っているだけで何も言わない。この沈黙はかなり、重苦しいものだった。西原も落ち着きないようで、部屋の中を見回したりしている。


「冬四郎さん、むつも…西原さんが困ってますよ。冬四郎さんも言いたい事があるなら、はっきりおっしゃいなさい」


「…むつ、勝手に車使って遠出してどういうつもりだ?酒井は信用ならない相手だっていうのに、1人で会ってきて」


本人が居ないからか、それとも余程に気に入らない相手なのか、冬四郎は酒井と吐き捨てるように呼び捨てで呼んでいる。


「電話で話すよりも顔をみての方が嘘をつかれないかと…車を勝手に使ったのは、ごめんなさい」


「…勝手な事をしたからには、有益な情報得たんだろうな?」


仕事中の冬四郎が出てきていると気付いた西原は、自分が責められてるわけでもないのに、背筋を伸ばして緊張していた。

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