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7話
山上の助言を聞き、むつは唇を尖らせた。くわえたままのタバコを甘噛するようにして、ぷらぷらと上下させると、それを横から山上が取った。火をつけていないから、吸わないと思ったのか山上はそのタバコをくわえると、さっさと火をつけて、ぷはーっと煙を吐き出した。
「…新しいの出していいのに」
「吸う気あったか?」
「ちょっとだけ…」
「…何かあったんだろ?」
「うん…やっぱり、あたしのせいかも…お母さん、襲われたのって」
「酒井から何か聞いたのか?」
「うん…」
「…今夜も、みや来るんだろ?」
うん、と頷いたむつはすっかり冷めているコーヒーをすすった。飲み慣れている味だが、お世辞にも美味しいとは思えない。
「俺も行く」
「えっ!?」
「お前のお母さん見てみたいしな…それに、何かいい事じゃない事が分かったんだろ?俺も行く」
「俺も行こうかな」




