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7話
コンシーラーとファンデーションで隈を隠して、顔色をよく見せる為にチークをほんのりと入れたむつは、鏡を見ながらしっかりと顔をチェックした。
「ねぇねぇ、どう?大丈夫?」
「…うん、大丈夫だよ」
向かい側の席に座っている颯介が、ほんのりと笑って頷いた。颯介に顔を見せた後は、山上の方を見た。山上も大丈夫だ、と頷いた。
「良かった。疲れた顔はよくないもんね」
ましてや、病院に居る母親にそんな顔を見せるわけにはいかない。事務所に寄って良かった、とむつは思っていた。だか、あまりゆっくりともしていられない。今夜も冬四郎は来るはずであるから、酒井から聞いた事を報告して、そしてきっと怒られるであろうから、大人しく雷も貰わなくてはいけない。




