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1話
ぎしっと床が鳴るような音がすると、むつはびくっと身を固くした。だが、自分1人ではないからなのか、ばっと布団を蹴りあげて起きた。
「…ん、むつ?」
布団をめくった音が聞こえたのか、冬四郎は身動ぎをしてむつの方を見た。むつは、冬四郎を起こした事には構わずに、そろっと辺りを見回した。むつが何かに警戒していると感じたのか、冬四郎も起きると方膝をついて、すぐ動けるような体勢になっている。
「どうした?」
「…また、何か…居た気がした」
冬四郎はベッドの方にそろっと移動すると、むつと一緒に部屋を見回した。そして、くっきりと眉間にシワを寄せた。
「気のせいかな…起きたら何ともなくなった」
「…そうか?」
ほっとしたようなむつの声とは反対に、冬四郎の声はやや固い。何か居た気がしたとむつが言っているのは、本当のような気がしたのだ。起きた時に、真っ暗ではない方がいいと思い、豆電球だけはつけていたはずが、それが消えて部屋は真っ暗になっている。それが何よりの証拠のような気がしたが、冬四郎は口には出さなかった。むつの不安を煽るような事は、言わない方がいいと思ったからだ。




