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6話
「えっ…危ないですよ。むつさんが狙われている可能性があるというのに、夜近付くなんて」
「でも、母が…宮前の母が襲われたのは、玉奥の父を恨んで私に仕返しをしようとした結果なんですよね?逆恨みされてたのは…やっぱり兄たちではなかったんですね」
「考えられるのは、そういう事です…」
「ありがとうございます。話してくださって…ここからは、私が何とかしてみせます」
むつはそう言って、日本刀を脇に抱えると、酒井の手を縛っていたものを外した。
「…外していいんですか?」
「えぇ…申し訳ありませんでした」
「あぁ…むつさんは詰めが甘いですよ。ここに連れてきて話したからといって、私が安全とは決まってませんよ。すぐるの事を、ここの事を知っている以上…私がここに眠っていた怨霊の可能性とか考えないのですか?」
「2週間かそこらで警視正になれるなら、兄は長官になってますから…それに、遥和さんが何も言ってませんでしたからね」




