33/1084
1話
「…変な感じがするの」
「変な感じ?」
「うん…今日もさ帰ってきてから、部屋に誰か居るような気がしたっていうか…最近ちょくちょく視線を感じるっていうか」
「部屋に何か居るんじゃないか?」
今は能力が使えないとは言っても、むつには人とは違った能力が備わっている。冬四郎は能力の事も、能力が弱っている事もよく分かっている。とは言えど、人ならざる物が全く分からないというわけでもないむつが、首を傾げている。
「分からないのか?」
「うん…だって見回しても、それっぽいのかとぼんやりとも視えないんだもん。居ないって事だと思うし…でも、何か…って感じがして」
「夜もおちおち寝れないって事か。いつから、そんな事になってるんだ?」
「1週間経つか経たないかってくらい」
「仕事で妙な所に行って、何か連れて帰ってきたか?谷代君に視て貰ったらどうだ?」
「その方が確実よね…頼んでみる」
「仕事にしてるやつがそんな弱気じゃ漬け込まれるだろ?気にしすぎるなよ。直接何かあったわけじゃないんだしな」




