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6話
こくっと頷いたむつは、ぬるくなってきているコーヒーを一口飲んだ。マグカップを手に持ったまま、よく分からないと言いたげに首を傾げた。
「…むつ、犯人捕まえるっていうのはみやには話してあるのか?」
「うん、昨日話したよ。合同捜査だねって」
「で、みやは?」
「上司命令で犯人上げろって言ってた」
「………」
それがどうしたと言わんばかりのむつの顔を見た山上は、目頭を指先で揉んでから颯介の方を見た。颯介は、くすっと笑うだけで何も言わない。
「お前ん家、何かあったのか?みやが止めるならまだしも…」
「うーん…親が喧嘩中。お父さんはね、むつの所に居るからお母さんが襲われたんだって言ったみたいなの…で、仕事は辞めさせて嫁に行かせるべきって…それを聞いてお母さん怒ってて…」
「はぁ…この機会に嫁に出したいのかもな。見合いを申し込まれる事なんて、後にも先にもなさそうだしな」
「うん…お母さんは、むつがしたいようにしなさいって…だから…」




