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6話
「な、何だよ…」
「社長に折り入って相談があるの、聞いて」
くだけた口調とは裏腹に、むつの顔は真剣だった。むつからこんな風に申し出てくる事など今までに無く、山上はよほどの事だと思ったのか、ちらっと颯介を見た。
「…俺は席外しておくよ」
「待って、隠す気はないから。颯介さんも居て」
「やけに真剣だな?いい話でもなさそうだし…あんまり聞きたいとは思わねぇなぁ」
「とりあえず…コーヒーいれてくるよ」
むつは、そう言うとさっさとキッチンに入っていった。颯介と山上は顔を見合わせて、むつの机の方を見た。鞄と一緒に置いてある日本刀が、2人は気になっているようだった。仕事が入ってるでもないのに、むつが日本刀を持ち歩く。その意味が、これからされる話と関係していそうで、どことなく2人を落ち着かなくさせていた。




