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6話
不貞腐れた顔をしていたが、母親に早く帰って支度をするように言われると、むつは渋々立ち上がった。そして、藤原にしつこいくらいに、母親を頼むと言ってから、冬四郎と共にようやく病室を後にした。
「…で、どうする?」
「酒井さんに電話してみる。そしたら、連絡するから…後、社長に頼んで自由に動かせて貰えるようにする」
「兄貴たちに連絡したか?」
「あ、する」
「…頼むな」
「うん、合同捜査だね。お兄ちゃんとこんな風に仕事する日が来るなんて思わなかったや」
「全然嬉しくないぞ」
「あたしもだって…」
寝不足な顔のむつは日本刀をぷらぷらとさせらながら、冬四郎と電車に乗ると最寄り駅で降りて自宅に向かった。




