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1話
電車を使って冬四郎のマンションにやってきた2人は荷物を置くと、はぁと疲れたように同時に息をついた。仲の良い兄妹だからか、仕草ややる事はよく似ている。
「…とりあえず、飯にするか?」
「そうしよっか…何か疲れちゃったや」
紙袋を片手にむつがキッチンに向かっていくと、冬四郎はその間に部屋の中を少し片付けると言って、干しっぱなしの下着を片付け始めた。いくら妹とは言えど、干しっぱなしの下着を見られるのはやはり少し恥ずかしい。
下着やら服やらを片付けている冬四郎を横目に、むつは少し首を傾げた。冬四郎がパンツ1枚の姿は見た事あるし、何を今更と思うが、彼なりの気遣いなのだろうと深くは考えなかった。
自宅で作ってきたおかず類を皿に盛って、レンジで温め直しテーブルに並べていく。取り皿に茶とを置くと、支度はあっという間に終わった。
「お兄ちゃーん?出来たよ」
「おー、ありがと」




