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5話
「理由をつけて、帰りたくないって事ね…何?何で喧嘩なんかしたの?」
窓際に日本刀を立て掛けたむつは、冷蔵庫を開けてペットボトルのお茶を取り出した。そして、ちらっとドアの方を見た。
「…先輩、時間大丈夫ならちゃんと入って」
「あ、あぁ…すみません、失礼します」
むつは西原にペットボトルを渡すと、椅子にかけてあったカーディガンを取って母親の肩にかけた。母親はそれだけの事でも、凄く嬉しそうに笑みを浮かべていた。
「西原さん、遅くまですみませんね」
「え、いえ…全然そんな事ないですから」
「先輩、椅子座って。あたしベッドに座るから…で、今度は何の喧嘩なの?」




