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5話
くすくすと笑いながら、他愛のない話をしていたからか、あっという間に病院に着いた。むつは、後部座席のドアを開けて布に包んである日本刀を取り出して、気合いを入れるかのように、病院を見上げた。
「…護身用か?」
「うん。あたしはボディガードだから」
意気込んだようにむつが言うと、面白そうに笑いながら西原がドアを閉めた。
「お母さん喜ぶか?」
「うーん…微妙な所だけど」
「だろうな。そこは宮前さんに譲れ」
「だーかーらーお兄ちゃんに遅れを取るわけにはいかないわよ。うちで襲われたんだもん…あたしが守るの」
「気にしすぎな。でも…そうだな…むつのお母さんって警視正と宮前さんのお母さんだもんな…その2人を恨むやつにって事は有り得そうだな」
「…たぶん、お兄ちゃんもそれ考えてるんだと思うよ。だから、あんなに怒ってるのかも」
「俺は…宮前家を敵にはしたくないな。恐ろしいにもほどがあるからな」
「あたしも…お兄ちゃんたち敵にしたくない。秒で捕まる自信ある」
「尚更、大人しくしとけ鉄砲玉娘でもな」
「うるさいわよ」




