269/1084
5話
「そうだっけ?」
「あぁ。俺はいっつもかやの外。京井さんの事にしろこさめさんの事にしろな」
嫌味っぽく言いながら、西原はゆっくりとアクセルを踏んだ。帰宅ラッシュの時間帯は終わったのか、さほど道は混んでいなかった。
「…ごめんなさい」
「いや、いいよ。付き合ってたっていうのに、何も知らない…俺も知ろうとしなかったのかもな」
「今になって知りたい?」
「…何回も今更って言うなよ。でも、知りたいな。お前の事、ちゃんと知りたい」
「…ん、兄妹なのもちゃんと話した事なかったかもね。ごめんね、隠し事が多くってさ…うん…義兄弟だよ。あたしの両親はすでに他界してて、他に身寄りがなかったから、お父さん…宮前のお父さんが、玉奥のお父さんと仲良かったってのもあって、養女として引き取ってくれたの」
「そうだったのか…ご両親は事故かなんかか?」
「はっきりとは知らない。でも…殺されたんじゃないかっていうのを…聞いた事がある」
「…えっ!?それって…ひ、人にか?」




