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5話
「あ、あの…お母さんの意識も戻られましたし…俺はそろそろ…」
居ずらいのか、西原は退散しようとしていたが、冬四郎が引き留めた。
「西原君もあの場を見てるからな、ちょっと話を聞きたい。まだ時間が大丈夫なら、だけどな」
「はい…大丈夫です」
「まぁ、むつ。西原さんからお母さんって呼ばれたわ。お母さんは西原さんなら賛成ですよ。応援しますからね」
「お母さん、落ち着いて」
「母さん」
きらっきらした目で楽しそうに、むつと西原を見ていた母親だったが、冬四郎が呆れたような声を出すと、母親は口元に手を当てて、くすくすと笑った。
少し赤くなっているむつと困りきっている西原が、面白くて仕方ないという感じだったが、母親はすぐに笑みをしまった。




