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5話
冬四郎がドアを押さえている間に、むつと西原は室内に入った。ペットボトルを抱えている西原から、冬四郎は1本ずつ受け取ると、備え付けの冷蔵庫にしまった。
「悪かったな、押し付けて」
「いえ、それより…すみません。ひっぱたいたのは本当なんです」
「いや、いい。その判断が正しかったんだろ?むつも落ち着いたみたいだしな」
「はい…それで、ご容態の方は?床にけっ…」
血痕があったと言いかけた西原は、むつがこちらを向いている事に気付いて口を閉じた。
「切り傷があったからな。腕に怪我をしてるけど、後は何ともないそうだ…まぁ一応、意識が戻ったら頭も検査して貰う事になってるけどな」




