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よろず屋 -むかしのこと-  作者: 幹藤 あさ
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5話

どうなるか分からないから、と母親の着替えをつめこんだ鞄を持ち、むつは西原の車に乗り込んだ。ついさっきまで混乱していたわりに、落ち着きを取り戻すと他の事にまで気を回せる辺りが凄いなと、西原は感心していた。


だが、落ち着きを取り戻せたとしても母親の状態が分からず、そわそわとしている。何かあれば連絡すると言っていた、冬四郎からの連絡もないという事は、今の所は良くも悪くも何も無いという事だろう。


「…親父さんとかに連絡しなくていいのか?」


「お母さんの様子見てからにする。危なかったらお兄ちゃんがしてるはずだし…いちにぃからの連絡ないから、たぶん大丈夫なんじゃないかな」


「そっか」


口調もいつもの、むつそのものに戻っている事に、西原はほっと息をついた。だが、泣いた後として目は赤いし、少しアイラインがよれていた。

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