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4話
むつは駆け寄ると、救急隊員を押し退けた。
「どいてっ‼鍵開けるから‼」
「通報者の方ですか?」
「それは兄が!!わたしの部屋だから、ここ」
がちゃがちゃと鍵を開けると、むつは靴を脱ぐのも惜しむようにして部屋に入った。
「お母さんっ‼」
室内には電気もついておらず、しーんっとしていて寒い。それに、むつが声をかけても返事もなにもない。リビングへと続くドアを開けて、ぱちぱちと電気のスイッチを片っ端からつけていく。
ちかちかっと点滅して蛍光灯がつくと、明るさに目がくらんだ。だが、それはすぐに慣れた。そろっと部屋を見回すと、ダイニングテーブルの近くに足が見えた。
「お、お母さん!?」




