238/1084
4話
西原の運転する車が高速道路に乗る頃、冬四郎は自分の携帯でどこかへと電話をかけていた。むつは、それが気になって仕方ないようで、ちらちらと後ろを見ていた。
「…救急だ。事件でも病気でも見に行って貰った方がいいだろ?母さんも年っちゃあ年だしな」
「うん…」
高速道路に乗った西原は、ゆっくりとアクセルを踏み込んだ。ぐんぐんとスピードを上げてく車に揺られながら、むつはぎゅっとシートベルトを握っていた。
「むつ、宮前さんの言う通りだ。落ち着け」
「…落ち着けないよ、お母さんに何かあったのかもしれないし」
「任せろ。もうすぐ着くからな」
「先輩の運転って安全だよね。お兄ちゃんは、急ぐと粗っぽくなっちゃうけど」
「俺はそこまで運転上手いわけじゃないからな…パトランプ鳴らして走るのは結構怖かったりするんだよなぁ」
「あたし平気かも…」
「お前もスピード狂だからな。運転上手いし」




