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4話
「お前、意外とキス魔か?」
「え?」
「いや、いい…いいなぁ…」
「………?」
いいなぁと呟く西原は内ポケットに人形をしまって、ちゃんとある事を確認するように、ぽんぽんと叩いた。大事にされてるんだな、と思ったむつは嬉しそうな笑みを浮かべた。
「なぁ仲良く喋ってる所悪いけど…」
むつと西原の仲睦まじい様子を見ながら、会話が途切れるのを待っていたのか、冬四郎は鞄を床に置いた。
「荷造り終わったぞ」
「はーい。じゃあ帰ろっか」
「調べなくていいのか?」
「なーんにも分かんないもん。澱んでた空気は出ていったし、部屋の中はもう大丈夫だと思うし」
「…なら、いいか。むつ日本刀取ってこいよ」
「あ、そうだ。それ取りに来たの忘れてた」




