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4話
「…っう」
「…?どうした?」
「何か悪寒がする」
「風邪引いたのかもな…ったく、お前意外と身体弱いよな。宮前さーん、むつ風邪みたいです」
西原が叫ぶように言うと、振り返った冬四郎は、はぁと溜め息を漏らしていた。
マンションのエントランスをくぐり、エレベータに乗り込むと冬四郎は渋い顔をして、むつの額に手をあてた。熱はなさそうだな、と呟いていたが冬四郎の顔は不機嫌そうに歪められていた。
「母さんチョイスだからって薄着したのと、俺の言う通りに部屋に行ってないからだ」
そう決めつけられると、むつは言い返せない。確かに、昨日は薄着で過ごしていたし、今日も寒いのに外で待っていた。むつは、うつむき加減にちらっと西原を見たが、西原は助け船を出せるでもなく、仕方ないよという顔をして見せただけだった。




