4話
「…他に何か聞いたか?」
「昔から知ってるって言ってたよ…あたしが玉奥の家に居た頃から…お父さんから力を引き継いだんだっていうのも…これはさ、お父さん…宮前のお父さんがさらっと言ってたから…あれだけど…後…今は能力が使えない事も言ってた。よくないのが近くに居るから気を付けろって…」
「ストーカーみたいな男だな」
冬四郎が吐き捨てるように言うと、むつは顔は上げないままに頷いた。何か考えていたり、落ち込んでいるように見えたのは、このせいかと冬四郎は分かったが、他に何とも声がかけにくい。
「…みずきさんとすぐるさんの事、俺もあんまり知らないんだけどな。みずきさんは…まぁ年齢不詳な人だったな。無邪気っーか…何て言うかな…きれいだったしな。すぐるさんは、ひたすらに優しい人って感じだったな。ふわってしてて、風が吹いたら飛んでいきそうな人だ」
中学生になる前に、家に何度か来た事のある父親の友人とその妻という程度でしか記憶にはない冬四郎は、イメージとして残っている2人の事を話してみた。むつは何か気になった事でもあったのか、ゆっくりと顔をあげて冬四郎を見た。




