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4話
「…ホテルの部屋取ってあります、みたいな流れはなかったわよ?」
「えっ!?いや…そうか?なら…」
目を細めたむつに、じっと睨まれた冬四郎は申し訳なさそうに、笑って誤魔化していた。
「妹で変な想像しないでよ。ばかっ‼っていうか、その発想が出てきたって事は、しろにぃならそうするんだ?」
「ばっか…流石に初対面でそこまで用意周到には出来ないな。付き合えそうっていう自信が…って、俺の事はいいんだ」
「…お兄ちゃんから、そんな話は聞きたくなかったわよ。何か複雑だもん」
「そんな事する柄じゃない」
「だといいけど…」
「晃兄さんはしそうだけどな」
「あの人は絶対にするって。誕生日に平気で、バラの花束とか用意しそうだもん」
むつと冬四郎は、ここには居ない長男がそんな事をしている姿を想像して、同時に吹き出して笑った。




