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4話
西原に何度も可愛いと言われてか、むつは恥ずかしそうにうつむいた。西原の凄い所は、良いも悪いも思った事をそのまま口に出来る素直さだろう。それも安売りするような気軽さでもなく、本当に思っているような言い方だから、尚更むつは恥ずかしくなるのだった。
「たまには、こんな服装のむつを連れて歩きたいな。今度、それでデートしようぜ」
「…いつもの感じのがいいって言ったくせに?」
「うーん…どっちでもいいかもな、むつだから。ってか、デートは断らないんだな?」
「…お兄ちゃんの許可出ならね」
そう言って、むつはついっと顔を上げた。目の前には、いつの間にか冬四郎が戻ってきていた。西原は顔を上げてから、うわっという顔をしたが、冬四郎は何も思ってないのか、笑みを浮かべているだけだった。