193/1084
4話
つまらなさそうに呟いた西原は、その後で盛大な溜め息を漏らした。むつの見合いの後押しをしてどうするんだ、という後悔があったが、今更それは言えなかった。
「…疲れた顔してんな。折角、今日は可愛らしくなってるっていうのに」
「…似合う?」
長く真っ黒で艶やかな髪の毛はハーフアップにしてあるうえに、巻いてあるからか、そこまで長さは感じられない。西原はその巻いてある髪の毛を、珍しそうに指先に巻いている。
「似合う。巻いている姿って久しぶりに見る気がするけど…いいよな、大人っぽい。けど俺はストレートのが好きだな」
「知ってる。だから、ずっとストレートにしてたもん…まぁ巻くの大変だしってのもあるけど」
好みを覚えてて貰えた事と、それが理由でストレートにしていたと言われて喜ばないはずがない。西原は、くりんっとした髪の毛から指をほどくと、むつの隣に並んでドアにもたれた。