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4話
ホテルから離れて、駅の近くにあるファミレスに移動した、むつ、冬四郎、京井。冬四郎は野次馬が集まったいるのを知っていたが、知らなかったむつは不機嫌さを隠そうともしない。そして
「全員、連れてきなさい」
という、命令をむつから下された京井は、むつには逆らえないとばかりに、近くに居た面々を抱えるようにして引っ張り出してきて、むつの前に並べた。
揃いも揃った見慣れた顔に、むつは頬をぴくぴくと痙攣させた。京井に連れられてきた面々、祐斗、颯介、山上、西原、晃はむつを前にして、顔を伏せているだけだった。
「…晃お兄ちゃん?なぁにしてるの?」
コートを脱いで、ノースリーブスのピンクのセーターから出ている二の腕を惜しげもなくさらして、ソファーの背もたれに腕を回すようにしてむつは座っている。
「いや、何って…ねぇ山上さん?あ、むつそのセーター可愛いな。でも、腕出すのは早すぎないか?寒いだろ?」
「…いちにぃ?」
ぶちギレ寸前のように、むつが目元をぴくぴくと痙攣させて晃を睨んでいる。それに気付いた晃は、さっと口を閉じると黙り混んだ。