表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋 -むかしのこと-  作者: 幹藤 あさ
183/1084

3話

むつは駆け寄ろうとしたが、足が地にはついていない。ぱたぱたとさせるしかない足と、がっちりと自分の腰を捕まえている物に、密着している何か。むつはそれが何なのか確認もせずに、ぐいぐいと手で押したがびくともしない。


「むぅちゃん、ダメです」


「…えっ?」


落ち着きがあるのに、どこか怒りを含んだような低い声、それにそんな呼び方をする男は1人しか居ない。むつが振り向くと、きちんとスーツを着た京井が、がっちりとむつを抱き上げていた。


「…な、何で居るのよっ!?」


「そんな事は後回しです。帰りますよ」


「だっ…で、でも酒井さんが…」


慌てた様子のむつとは対照的に京井は、冷たいくらいに落ち着いている。そして、細めた目で酒井を見下すように見ている。


「私は大丈夫ですよ」


ゆっくりと起き上がった酒井は、ぱたぱたとスーツを払った。そして、親指でぐいっと口の端をぬぐった。


「犬神さんが居らしてたとは…」


紹介もしてないのに、京井の正体を難なく言い当てた酒井は、くっと笑った。柔和な表情とはうってかわって、悪い人ののような極悪的な笑みだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ