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３話
１度不信感を抱いてしまうと、その後にどんな素敵な言葉を言われようと、それはなかなか払拭させる事は出来ない。むつはそっぽを向くように、酒井と共にエレベータに乗っていた。冬四郎から失礼のないように、と言われていたが最後の最後で、この態度かとむつは内心苦笑いをしていた。
「…お兄さんはどこで待ってるんですか？」
「さぁ…分からないです」
「そうですか…」
ゆっくりと動くエレベータの中で、まともに会話が続かないというのは気まずい。帰り際にこれでは、いい見合いだったとは言い難いにもほどがある。
暗い雰囲気とは裏腹に、ちんっという高い音が響いて１階に着いた。ドアを押さえてくれている酒井に礼を言って、むつはさっさと降りた。
