168/1084
3話
「あ、大丈夫そう」
殻を触ってみたむつが嬉しそうに冷めてきたと言ったが、酒井は熱いものが苦手なのか、ちょっと触っただけですぐに手を引っ込めた。
「…私はもう少し待ちます」
「なら、お先に頂きます」
むつは豪快にも頭を折って外して、中の味噌も箸で綺麗に取って舐めている。そして、開いてある背中から指を入れるようにして殻を外した。
「うわっ…頂きますっ」
尻尾をつまんで、ぷりっとした身にそのままかぶりついた。店員には塩でと言われたが、先ずはそのままの海老を味わいたかった。
「んっ‼んーっ!!」
ぷりっぷりで弾力のある身は、噛むごとにじんわりと甘味が感じられるようだった。
「美味しそうに食べますね」
「本当に美味しいですよ。こんなに美味しいのって初めてだと思います‼」
「少しでもよろこんで貰えて良かった…」