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3話
しゅんっとした様子の西原は、冬四郎に向かって深々と頭を下げたが、冬四郎はこの事をむつに言う気にはなかった。
「それで、谷代君はいつから?」
「おれ…ぼ、僕は最寄り駅からです。宮前さんとむつさんが一緒に地下から出てきてからです」
「どっちも山上さんの指示か?」
「はい…一昨日、山上さんからむつが見合いをするって連絡を頂きまして。見合いをするなら、休みの今日だろうって…それで尾行するように言われたんです」
「…暇人だな、お前」
「すみません…」
「まぁいい。そうか…駅出てから視線感じるなって思ってたのは、西原君と谷代君か」
何やら納得したようで、少し安心したような表情が浮かべた冬四郎は、悪戯が見付かった子供のような祐斗と西原を見ていた。
「で、他には誰が来てるんだ?」
「山上さんと湯野さん、京井さんと警視正が来てます。別の所からホテルの出入り口張ってると思います」
「あぁ、反対車線の方に居たな。2人が俺に連れてかれるのも見てたんじゃないかな」