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3話
出てこないだろうと、思っていた冬四郎が何気無い様子で近付いていくと、がさっと街路樹の隙間から、2人の男が出てきた。
「…っと」
「………」
出てきた2人は、ホテルの従業員のような感じもなく、ラフな服装をしている。冬四郎は暗い中で2人を見ていて、あっと声をあげた。
「…あの、こんばんは」
どちらかというと線の細い男が、気まずそうにぺこっと頭を下げて挨拶をしてきた。その声も聞き覚えがあり、冬四郎はやっぱりと思ったが、何故こんな所に居るのかが分からなかった。
「谷代君に西原君…何をしてるんだ?」
「あー…その…はい…」
眼鏡をかけている男は、ニット帽を取って気まずそうに、がりがりと頭をかいている。
「…何をしているんだ?」
冬四郎が目を細めて、声を低くしてもう1度同じことを聞くと、線の細い男、谷代祐斗と眼鏡の男、西原駿樹はびくっと肩をすくませた。