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3話
家の事を済ませると、むつは着替えて母親と一緒にマンションを後にした。寒いが、すっきりと晴れていて青空が綺麗だった。
「むつとお出掛けなんて、すごく久しぶりの気がするわ。お父さんも諒さんも買い物一緒に行こうなんて言ってくれないもの」
「男の人はそんなもんなんじゃない?あたしはたまーに、しろにぃに荷物して貰うけど」
「冬四郎さんが1番優しいかもしれないわね。あんまり家には帰ってこないけど、あなたも」
「へへっ…」
遠回しに、もう少し帰ってこいと言われたむつは笑って誤魔化すだけだった。だが、そう言われて嬉しくないはずはなく、なるべく帰ろうかなという気になる。それでも、むつは思うだけで行動には移さないんだろうな、と思っていた。