3話
「はぁい…気を付ける。あ、でもお母さんが来てくれてから、変な感じしないかも。やっぱり、母強しなのかなぁ?」
「冬四郎さんのおかげじゃなくて?」
「だって、お兄ちゃん所に泊まっても変な感じあったから…やっぱ人じゃないのにストーカーされてるのかなぁ?」
「だとしたら、お母さんじゃ役には立たないんじゃないかしら?」
「かなぁ?でも気の持ちよう‼」
「だとしたら、この世の出来事はみんな気の持ちようで解決出来ちゃうわよ?むつは特に気を付けなさい」
「うん…」
「で、何作るの?お母さんも手伝うわよ?」
「ううん、大丈夫。出来るから…お母さんは、ゆっくりしてなよ。折角、家から離れてるんだし」
あまり見てられるのも緊張するからか、むつは腕でぐいぐいと母親の背中を押して、キッチンから追い出そうとしている。
「はいはい。お粥出来たらそうするわよ。あ、冬四郎さんのシャツにでもアイロンかけようかしら?」
「また、シワシワのシャツ持ってきてるの?」
「またって…いつもなの?」
「さぁ?この前、取り込んだ分にはアイロンかけといたけど…クリーニングに出してないのは、シワシワかも」
仕方ないわね、と言っていても母親はどこか楽しそうに、鍋に溶いた卵を流し入れると火を止めた。