2話
そんな付き合いの長くもない相手と、よく見合いをさせようという気になったなと、むつの顔が言っている。それに気付いた父親は、すまなそうに笑っている。
「ま、いいや…で、お名前は?」
「酒井理人さんという方だ」
「酒井さんね…お父さん的には、どんな人?うちのお兄ちゃんたちって皆タイプ違うでしょ?それで分類するなら」
「そうだなぁ…」
コーヒーカップを持ったまま、父親は考えるように宙を見た。父親の頭の中で、どのような分類がなされているのか分からないが、悩むという事は4人の兄たちと似た所のない人なのかもしれない。
「雰囲気は諒だな」
むつは、ふーんっと返事をしただけだった。次男の諒の名前が出たのは少し意外でもあった。だが警察といってもキャリア組という、肩書き重視なイメージのある側であれば、それもそうかと納得出来ないでもない。晃と同じキャリア組といっても、雰囲気は真逆なのかもしれない。そう思うと、何だか冷たく怖いイメージが浮かび上がってきた。
「…えー」
「………?」
むつが嫌そうな声をあげ、コーヒーをすすると、どんな風に諒を捉えているのかと父親は、少し不安にもなっていた。