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15話
「火車…今回は本当にありがとう。それに、ごめんね…酒井さんを危険な状態にさせちゃった…」
「…死んだわけじゃないんだ、気にするな」
「うん…」
「さて…むつはいつまでもこっちには居ないんだろ?西原君も待ってるだろうからな…」
酒井が少し寂しそうな顔をすると、むつは困ったように首を傾げた。確かに西原には帰ると約束しているから、帰らないわけにはいかない。それについさっき、電話で話したばかりで、それを言われたからか、むつの耳が少し赤くなっている。
「酒井さん…酒井さんは一体…」
「むつは覚えてないんだろうけどな、俺は玉奥の家に居たんだ。本体は…むつが引き取られた時に、宮前の親父さんが一緒にこっちに運んでくれたんだ…見るか?」
こくっと頷いたむつは布団から出た。冷えるといけないからと、冬四郎はむつにカーディガンをかけてやり、その酒井の本体とやらを見に行く事にした。




