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15話
「…そんなに驚く事もなかろうに」
「い、いつか…?」
「最初からだ」
「…の、覗き見」
「そんな事より、腕の力を緩めてやってくれるか?むつが苦しそうにしてる」
「あ、悪い」
冬四郎の胸をにこもっていた力が抜けるお、むつはよくやく息が出来るとばかりに、ぷはっと息を吐いた。
「大丈夫だったか?」
「大丈夫…もう酒井さん…」
「俺じゃなくて兄貴のせいだろうが」
「それもそっか…来てくれたんだね」
布団から出たむつは、まだ眠いのかごしごしと目を擦っているが、嬉しそうな顔をしている。




