1072/1084
15話
むつは慣れた様子で、着信履歴などを見ていくと、見知った名前を見つけてさっそく、電話をかけているようだった。
「こんな時間に…むつ‼」
「いいの‼ちょっとだけ…」
携帯を取り上げられそうになったむつは、缶ビールを片手にさっと逃げた。冬四郎は追い掛けるつもりもなく、溜め息をついていた。誰にかけているのかは、履歴を見れば分かる。そうしなくても、こんな時間にかけようとする相手は何となく想像がつく。
「出ない…出ないよっ‼」
「当たり前だ…何時だと思ってるんだ」
「…4時にじゅう…よじっ!?」
「…ばか」




