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15話
「大丈夫…ずっとここに居たいから…でも、そんな時が来たらちゃんと話すね」
「そんな時は来なくていいがな…さ、もう寝なさい。色々あったから疲れただろうからな、ゆっくり休みなさい」
「うーん…」
そうは言われても、やはり親の近くというのは居心地がいい。少しだったとしてと言いたい事が言えて、内緒話のような事が聞けた後だから尚更だ。末っ子で甘えん坊のむつは、なかなか立とうとはしない。
早く寝ろといいつつも、むつが甘えているのが分かっている父親は、嬉しさを隠せないのか、でれでれとした笑みを浮かべているし、強くも言わない。
「むつ、いい加減にしなさいよ?」
片付けをしていた母親の声が、やんわりとかかるとむつは、はいっと勢いよく返事をした。
「母さんには敵わないな」
「うん…1番怖いもん。お父さんも早く寝てね…おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
むつは母親の元に行き、おやすみと言うとしっかり冷蔵庫からビールを2本取り出して出ていった。




