2話
「キャリア組は信用出来ねぇ辞めとけ」
「いちにぃも一応それだよ?」
「あーいつは…昇進蹴ったから、もう上には行けないだろうな。それに俺の元部下だからいいんだ」
「偏見」
「何とでも言え」
「で、むっちゃんはお見合いするの?」
ようやく衝撃からも立ち直ったのか、一番肝心な事を颯介が、むつに確認した。むつは、まだ決めかねているのか首を傾げている。
「相手の事もはっきり分からねぇんじゃ決めようがないか。親父さんの紹介って感じなんだろ?」
「そんな感じなの。でね、お父さんといちにぃが勝手に話を進めてて、お母さんとしろにぃが反対してて、喧嘩になってる」
本当に困っているのか、むつはマグカップを両手で包むようにして持ちながら、少しうつ向いている。
「晃の知ってる人か?」
「挨拶に来たらしいよ…何の為の挨拶なのかは知らないけどさ。だから、お兄ちゃんも、たぶん相手の人の顔に泥を塗らないようにって感じなんじゃないかなって」
「晃よりも立場が上か同じか…ふぅん」
「昨日、大変だったっていうのは…」
「うん。お父さんといちにぃ、お母さんとしろにぃっていう対立構造に挟まれたの」
「そりゃ大変だ」
晃と冬四郎があまり仲良くない事を知っているのか、山上は同情するような目をむつに向けていた。